仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~
数十分後、隼に「寝るぞ」と案内されたのは大きなベッドと幾何学模様の絵画が飾られただけのシンプルな部屋だった。
「ここに私ひとりで寝てもいいんですか?」
この大きさだとキングサイズのベッドだろうか。ひとり用にしてはとても広い。
ゲストルームにもこのクラスを置くなんて贅沢。さすが社長だと感心してしまう。
「なにを言ってるんだ。ここは俺のベッドルーム」
「あ、そうですよね。私がここのわけが――」
「キミもここだ」
「……はい?」
聞き捨てならない言葉をかけられ、ワンテンポ遅れて聞き返した。
「空いてる部屋はあるけど余分な布団や毛布はないんだ。だから、ここで一緒に寝る以外にない」
「や、でも……」
いくらなんでも同じベッドなんて!
反射的にあらぬ妄想が頭を駆け巡ったため、追い出すべくブンブン頭を振る。