仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~
「社長に買っていただいた抱き枕のぬいぐるみです」
「あぁ、あれか」
「それが火事で……」
アパートもろとも焼けてしまった。
「なにかと思えば、そんなことか」
「せっかく社長に買っていただいたのに」
それも昨日買ったばかりのものだ。
「キミが丸焦げにならなかったんだからよかったじゃないか」
「それはそうですけどっ」
勤め先の社長とはいえ、はじめて異性からプレゼントされたものだったのだ。特別な相手というわけではなくても、うれしいのに変わりはない。
意気消沈してがっくりと肩を落とした。
「あれがないと寂しくて眠れないなら、俺がぎゅっとしてあげようか」
肘を突いた手に頭を乗せ、隼が楽しげに微笑む。
からかわれているのはわかっているのに、〝ぎゅっと〟に反応して顔がカーッと熱くなった。