仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~
◇◇◇◇◇
瞼に注ぐ光が少しずつ優莉に覚醒を促していく。
張りのある滑らかなシーツの肌触りに違和感を抱きながら、薄っすらと目を開けた。
「……あれ?」
見覚えのない天井と壁が目に入った次の瞬間、布団を蹴散らして飛び起きた。自分が今どこにいるのか思い出したのだ。
――社長は!?
隣のスペースにその姿はない。
寝起きのためおぼつかない足取りでベッドルームを出ると、隼はキッチンにいた。すでにスーツに着替えている。
「おはよう」
優莉に気づいて上げた顔の爽やかさに不覚にもドキッとする。キラキラと音でもしそうな表情だ。
「……おはようございます」
ペコッと頭を下げ、トボトボといった足でリビングを横切る。