仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~
「頭がすごいぞ」
「え?」
「ぐちゃぐちゃだ」
「ほんとですか!?」
慌てて手で髪を整えるが、鏡がなければどうなっているのかさっぱりわからない。
「起こしてくださればよかったのに」
そうすればもう少しマシな自分を見せられただろうに。とはいえ元の姿はどうにもならないが。
「よく寝てたからね」
クスッと鼻を鳴らすと、隼はキッチンカウンターに置いていた自分のスマートフォンを手に優莉の元へやって来た。ぬっと突き出してきた画面を見て目が点になる。
「えっ、ちょっとそれなんですか!?」
優莉の顔が表示されていたのだ。それも決して美しいとは言えないひどい寝顔だ。
優莉が声を荒げた途端、隼がスマートフォンをひょいと遠ざける。
「あんまり気持ちよさそうな顔して寝てたから撮ってみた」