仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~

「やだ、今すぐそんなの消してください」


誰かべつの人に見せられたらと思うと気が気じゃない。


「後で」
「やだ、消してくださいってば」
「だから後で」
「今すぐにしてください」


押し問答を繰り返す。
優莉がいくら懇願しても、隼はいたずらっぽく笑うばかり。スマートフォンをポケットに突っ込んで隠してしまった。


「コーヒー飲むか?」


話題を変えてキッチンへ向かった隼はコーヒーサーバーを持ち上げた。
むぅと唇を引き結んで隼を見る。


「いただきます」


低い声で返事をした。


「そんな怖い顔するなよ」
「もともとそういう顔なんです」
「眉間の皺が取れなくなるぞ」
「社長と違って若いから大丈夫です」

< 86 / 323 >

この作品をシェア

pagetop