仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~
そう言われて、これからどうしようかと不安がぶり返してくる。一夜明けたからこそ現実味を帯びてきたといったらいいのか。
やはり今日は休ませてもらおうか。アパートの管理会社にも連絡しなければならないし、これから住む場所もなんとかしなくてはならない。なにしろこのマンションを一歩出たら、優莉には帰る家がないのだから。
今すぐ住めるアパートなんて見つかるのだろうか。でも、見つかったとしても家財道具も全部燃えたから買いなおしだ。
「多少は貯金もしているんだろう? 冬のボーナスも先月支給されたし。通帳が焼けたとしても銀行へ行けばなんとかしてくれるはずだ」
「貯金、ですか……」
「もしかして、ないのか」
隼がコトッと音を立ててカップをテーブルに置く。
優莉の落胆ぶりで察したのか、問いかけではなく断定的な言い方だった。
「……はい」
ため息と一緒に吐き出すように答える。貯金は限りなくゼロに近い。
「意外と浪費家なんだ」
「ち、違いますっ」