仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~
「財布に入っていた三千円が全財産だろう?」
「それはそうなんですけど……」
三千円が耳に痛い。キャッシュカードは財布の中に入っていても、引き出せるお金はほとんど残ってないのだ。
「でも使いすぎたわけじゃありません」
浪費家という言葉があまりにもショックで弁解したくなる。
「それじゃ自然に蒸発でもしたとか」
「社長、ひどい。学費なのに」
馬鹿にしたような言い方はあんまりだ。
「……学費?」
隼がポツリと繰り返す。椅子の背もたれから体を起こし、手を組んでテーブルの上に置いた。
「妹が専門学校に通っているので」
「その学費をキミが?」
聞き返されてコクンとうなずく。