仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~
「俺がいいと言っているんだ。迷う必要はない。それとも路上生活の方がいいのか?」
テーブルに身を乗りだし優莉の顔をじっと見る。
「路上、生活……」
「そうだ。段ボールで家を作って、そこから仕事に行くか?」
優莉の頭の中にテレビのドキュメンタリー番組で見た映像が浮かぶ。そういった生活を余儀なくされている人たちを馬鹿にするわけではないが、優莉にはとうていできるものではない。
うつむき、力なく首を横に振る。
「それならここにいるしかないだろ」
お金がない。路上生活は無理。そうなると優莉にはほかに手立てがないのもたしか。
「……でも本当にいいんですか?」
そう確認せずにはいられない。
自分の会社の社員を、しかも女子社員をマンションに置くなんて簡単に決めて平気なのか。
「大丈夫だ。ここにいろ」