仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~
「あげないよ。いつか返してくれればいい」
その言葉が優莉の気持ちを軽くする。もらうのではなく借りるだけ。
「それではお言葉に甘えさせていただきます。すぐには無理でも、きちんとお返しします」
もう一度深く腰を折り、ありがたく受け取る。
「なんなら体で返してくれてもいいぞ」
「……え?」
頭を元の位置に戻した優莉の目が点になる。
体でって……。
よからぬ妄想が脳裏をかすめた。
「な、なにを言ってるんですか」
点だった目を今度は白黒させあたふたする。
「冗談だ、冗談」
いつものようにクククと笑って肩を震わせる隼が恨めしい。