仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~
「からかわないでくださいっ。私には社長のお相手は務まりませんから」
大学を出たばかりの色気もない優莉は、隼の眼中にもないだろう。もっと匂い立つような色香をまとった大人の女性がよく似合う。
「コーヒー冷めるぞ」
優莉の反論をさらっと聞き流し、優雅にコーヒーを飲む。目線は手もとのタブレットに落ちていた。
椅子を引いてもう一度座り、ほどよく冷めたコーヒーに口をつける。
甘さのひとかけらもない大人の味わいが、隼の優しさと一緒に優莉の胃に染み渡っていくのを感じた。