仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~
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隼が出勤した後、優莉は店を統括しているマネジャーの寺岡に休みの連絡を入れた。クールブロンでは三店舗をひとりのマネジャーが統括運営しており、売上などの業績を管理している。
火事で焼け出されたと言うと彼にひどく心配され、落ち着くまで仕事は大丈夫だからと気遣われた。
明日美にはスマートフォンのアプリでメッセージを送り、返信を待つ間に一番肝心なアパートの管理会社に連絡を入れる。
出火の原因は調査中らしく、まだ混乱している様子だった。知人の家にしばらくいると伝え、なにか進展があったら連絡をもらえるようにお願いして通話を終える。
「必要なものを買いにいかなきゃ」
口に出して体に指令を出した。
隼がいるときは気が紛れていたが、ひとりになった途端、急に気分がふさぎ込む。大きな荷物を背負ったように体が重い。
隼が貸してくれたお金を数えてみると、なんと十万円もあった。
給料日はもう間もなくとはいえ、一括で返すのは厳しいだろう。