強引な副社長の婚前指南~偽りの極甘同居が始まります~
「今は何を言ったところで、芳奈には冗談に聞こえるよな。からかうつもりはないけど、今のは俺が悪かった、謝る。申し訳ない……」
 
珍しく八雲さんの態度が素直というかしおらしいというか。予想外のもので面食らう。からかってないのならさっきのはなんだったの? 

そう思わなくもないけれど、今の状態の八雲さんにはもう何も言い返せない。

「でも今日の今日で返すわけにもいかないし、とにかく一度、俺のマンションに行こう」

「そうですね。話はまた八雲さんのお家に着いてからということで」
 
八雲さんの顔を見ていた目を、手元に下げる。
 
申し訳ないなんて言っておいて、私の手を握った手は離すつもりないんだ。でもまあ減るもんでもないし、このままでもいいか……。
 
やれやれと言わんばかりに、苦笑を漏らした。




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