強引な副社長の婚前指南~偽りの極甘同居が始まります~
朝から降っていた雨も上がり、雲の隙間からは夕方の日差しが差し込んでいる。
しばらく車を走らせて到着したのは、この前一晩過ごしたマンションとは違う、有名な高級マンション街。目の前にはひときわ高いマンションが建っていて、車の中からゆっくり見上げても何階まであるのか数え切れそうもない。
「ここが八雲さんのお家?」
「当たり前だろ。俺以外に誰がいる? ああ、この前のマンションのことか。あれは八雲家所有の以前住んでたマンションで、こっちが正真正銘、俺の家」
駐車場に車を停めると、八雲さんは私の頭に手を乗せぽんと弾ませる。すぐに車を降りてフロント部分をまわり、助手席のドアを開けて私を向かえてくれた。
スッと差し出された手に、そんなことをされた経験のない私は恥ずかしさから戸惑ってしまう。
なんだか扱いが、丁寧なんですけど……。