強引な副社長の婚前指南~偽りの極甘同居が始まります~
なんで私は八雲さんに抱かれてるの? これって彼氏彼女の、定番シチュエーションなんじゃないの?
 
八雲さんは私の肩に顔乗せちゃってるし。息をするたびに、吐息が耳にかかるし。これって何かの罰ゲーム?

八雲さんと触れ合っている背中がどうにも気になって落ち着かない。この心の中がムズムズソワソワする気持ちは、一体なんなの?

「や、八雲さん。そろそろ離れてくれませんか?」
 
ここは八雲さんのマンションで、恋人のふりをする必要はない。これは契約違反、する必要のないコミュニケーション。夜景を見てテンションが上がったのに、夜景どころの騒ぎじゃない。

「聞いてます?」

「ん? 聞いてない」

「返事してるじゃないですか?」

「うるさい」
 
なんで私が怒られなきゃいけないの……そう文句を言おうと振り向きかけた、その時。首筋に柔らかいものが触れ、くすぐったさに首をすぼめる。瞬間チクッと痺れるような痛みが走った。


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