強引な副社長の婚前指南~偽りの極甘同居が始まります~
何を隠そう私は、中華料理に目が無い。その中でも特に餃子が好きで、自分でもよく作る。もちろん食べに行くのも好きで、美味しいお店はリサーチ済み。

「チャーハンとスープは俺が作ったが、餃子は知り合いの店から冷凍してあるのをもらって、それを焼いただけだ。悪い」
 
八雲さんは、そう言うけれど。よく見れば野菜はみんな同じ大きなにカットされているし、たまごスープはコーンが入ってとろみまでついている。餃子はお店のものかもしれないけれど、つけダレは生姜やニンニクのみじん切りが入った手作りのようだ。

「悪いって、これだけあれば十分ですよ。それより、八雲さんが私のために作ってくれたことが嬉しいです」
 
胸の前で手を合わせ、ニッコリ笑って見つめ合う。八雲さんが少し驚いたような顔をしたのを見て、はたと気づく。
 
わ、私、何言っちゃってるの!? これじゃあ、恋してる乙女みたいじゃない!
 
一気に顔が熱くなり、くるりと後ろを向く。顔を両手で隠すと、その場にしゃがみ込んだ。


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