強引な副社長の婚前指南~偽りの極甘同居が始まります~
「そう、それ。そうやって肩の力抜いて笑ってろ。その方が芳奈らしい」
 
そう言って箸を手にした八雲さんは、餃子をひとつ摘み上げる。そのまま食べるんだろうと思って目で追っていると、餃子が目の真ん前に差し出された。

「え?」
 
何?と、ぽかんと八雲さんを見つめる。

「早く、手を合わせていただきますは?」

「いただきま……んぐっ!?」
 
言われたとおり手を合わせ、いただきますと言いかけた口に餃子が放り込まれる。いきなりのことに驚いて喉に詰まりようになった餃子を、お茶を飲んで流した。

「八雲さん! 何するんですか?」

「旨いだろう?」

「ま、まあ確かに……美味しいです! こんなに美味しい餃子食べたの初めてかも」
 
私の箸を持って、今度は手作りのタレを付けてから食べてみた。うん、やっぱり美味しい。香味野菜と餃子の具が相まって、なんとも言えない旨味を醸し出している。


< 130 / 230 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop