強引な副社長の婚前指南～偽りの極甘同居が始まります～

「今回梅岡の企画を進めることにしたのは俺なんだ。もちろん梅岡が制作したこの企画書が、よくできているのが一番の決めてになったわけだが。どうしてショコラティエ煌月のチョコレートを使わないといけないのか、どうしてポキットとのコラボ商品を作りたいのかが、この企画書には嫌というほど詰まっている」

「八雲さん……」
　
彼がこの企画を推してくれたのは知っていたけれど、まさか私の『ショコラティエ煌月』を想う気持ちまでわかってくれていたなんて……。
　
胸が熱くなって、目に涙が浮かびそうになるのをぐっと堪える。

「だからこの企画書は、どうしても煌月に見てもらいたい。そしてそこから何かを感じ取ってもらえたのなら、俺はそれだけでもこの企画書には意味があると思う」

八雲さんの真の言葉に、心の中でピンと張り詰めていた糸がふわりと緩む。それは煌月さんも同じだったようで、一度テーブルの上に戻した企画書を手に取るのが見えた。