強引な副社長の婚前指南~偽りの極甘同居が始まります~
交渉は煌月さんが企画書を呼んだあと、明日行われることになった。煌月さんが呼んでくれたタクシーに乗り込み、『ショコラティエ煌月』を後にする。
しばらくは、どちらも黙ったまま。八雲さんは窓の外を流れる景色を、私は自分の手元に目線を落としている。そんな少し重苦しい空気を切ったのは、彼。
「先走るどころか、何もできなかったな。轟に断られて、頭ん中真っ白になったとか?」
「っ!」
八雲さんに痛いところを突かれて、言葉に詰まる。私に向けている表向きの顔は笑っているのに、裏を返せば無表情で。これは完全に相手にされていない、バカにしている顔だ。
こんなつもりじゃなかった。最初から一度でいい返事をもらえるとは思ってなかったし、断られても何度だって相手に挑むつもりだった。
それなのに、いざ蓋を開けてみればこの有様で。私の小指の先ほどの自信は、木っ端微塵に吹っ飛ばされてしまう。
「何? 俺がいるから大丈夫とか、高をくくってた?」
「そんな……!」
そんなこと、これっぽっちだって思っていない。
しばらくは、どちらも黙ったまま。八雲さんは窓の外を流れる景色を、私は自分の手元に目線を落としている。そんな少し重苦しい空気を切ったのは、彼。
「先走るどころか、何もできなかったな。轟に断られて、頭ん中真っ白になったとか?」
「っ!」
八雲さんに痛いところを突かれて、言葉に詰まる。私に向けている表向きの顔は笑っているのに、裏を返せば無表情で。これは完全に相手にされていない、バカにしている顔だ。
こんなつもりじゃなかった。最初から一度でいい返事をもらえるとは思ってなかったし、断られても何度だって相手に挑むつもりだった。
それなのに、いざ蓋を開けてみればこの有様で。私の小指の先ほどの自信は、木っ端微塵に吹っ飛ばされてしまう。
「何? 俺がいるから大丈夫とか、高をくくってた?」
「そんな……!」
そんなこと、これっぽっちだって思っていない。