強引な副社長の婚前指南~偽りの極甘同居が始まります~
「あんたで年取ったのなら、五歳も年上の私はどうなるのよ」

「だからって、いきなり頭叩くことないじゃないですか!」

「だって、そこに頭があったから」
 
なんですか、そのどこぞの有名登山家が言った『そこに山があるから』みたいな言い訳は。
 
呆れて元の位置に戻る。すると隣の席から椅子を引っ張ってきた千登世先輩が、私の横に陣取った。周りをキョロキョロと見渡し誰もいないことを確認すると、私にグッと身体を寄せる。

「ねえ聞いた、四星百貨店との業務提携の話」

「えぇっ!?」
 
これこそまさに“寝耳に水”。なんでうちが、四星と業務提携なんて結ぶの? 
 
八雲さんと暮らし始めてから、もうすぐ四ヶ月。その間に何度か実家に顔を見せに行っているというのに、そんな話一度だって聞いたことがない。

もともと家で仕事の話はあまりしなかったけれど、クリキとのことなら少しぐらい話してくれてもよかったのに。
 
それにしても、どうして急に……。


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