強引な副社長の婚前指南～偽りの極甘同居が始まります～

「部長！　芳奈が大変なの、ちょっと来てください！」
　
千登世先輩の声に、部長はじめ企画部の面々が集まりだす。

「どうした梅岡？　大丈夫か？」

「すみ……ません。もう、大丈夫……です」
　
やっとのことで言葉を交わすが、身体の力は出ないまま。苦しい息を吐くと、千登世先輩が私を抱きしめた。

「部長。もうすぐ定時ですし、今日はこのまま帰していいですよね？」

「ああ。小林、頼めるか？　下にタクシーを呼んでおく」

千登世先輩が機転を利かせてくれて、今日はこのまま帰ることを許される。今の状態では仕事ができるはずもなく、素直にそれを受け入れ千登世先輩に助けてもらいながら帰り支度を進めた。

準備が整った頃には少し気分も落ち着き、自分で立ち上がると部長のもとへ向かう。

「部長、すみませんでした。今日はお言葉に甘えて、お先に失礼します」

「何も謝ることはない。最近、少し働かせすぎたな。今週いっぱいは体を休めて、また来週から元気に働いてくれればそれでいい」