強引な副社長の婚前指南～偽りの極甘同居が始まります～

「人生、いつどこで何が起こるかわかりませんね。ほんと、波乱万丈です」

「全くだね。いい、私はいつでも芳奈の味方だから。ひとりで悩むんじゃないよ。また来るから、今日のところは早く寝て体調整えるんだよ。わかった？」

「はい、ありがとうございます」
　
千登世先輩は帰り際、私の身体を抱きしめると、笑顔をみせて帰っていった。

「芳奈。八雲さんと何があったの？」
　
母が心配そうに私の肩を抱く。

「お母さん、ごめんね。少し待って。ちゃんと、ちゃんと話すから。お父さんは？」

「海外へ出張。一週間ほど帰ってこないから、ちょうどよかったわね。芳奈、お母さんでは頼りないかもしれないけど、私はあなたの味方だから何でも話してね」
　
千登世先輩と同じことを言う母に、心が癒やされる。

「私には味方がいっぱいいて心強いなあ。ありがとうね、お母さん」
　
母の両手を取ると、その手をギュッと握りしめた。