強引な副社長の婚前指南~偽りの極甘同居が始まります~
心臓が激しく鼓動を打つのを、なんとか必死に抑える。まずは落ち着けと自分に言い聞かせて、深呼吸を繰り返した。
一度、頭の中を整理したほうがよさそうだ。
目の前で小さく寝息を立てている、この人のことは覚えている。昨晩B&Rへ飲みに行き、そこで私に声をかけてきた男性だ。
でもなんで、その男性と一緒にベッドに入ってるわけ? どうやってここまで来たの? なんで私は下着姿のままで、昨日知り合ったばかりの男性に抱かれているの?
乙女の純潔は好きな人に捧げる──そう心に決めて、二十五年間ずっと大切に守ってきたというのに。誰にも触れられていない清らかな身体が、どこの馬の骨ともわからない高飛車な男に汚されてしまったなんて……。
梅岡芳奈、人生最大の汚点。
それにしても、この人もこの人だ。酔った私をお持ち帰りして、意識も同意もないまま行為に及ぶとは不届き千万。
これってもしかして犯罪なんじゃないの? いや、もしかしなくても犯罪行為、こやつめ成敗してやる!