強引な副社長の婚前指南~偽りの極甘同居が始まります~
沸々と怒りが湧き、男性を睨みつける。どうしてくれようと思案していると、突然目を大きく開いた男性と目線がぶつかる。
色素が薄そうな少し茶色い瞳に見つめられ、心臓がトクンと疼く。その瞳に惹きつけられそうになるのを寸前のところで自分を取り戻し、頭を振って真顔に戻す。
「芳奈、おはよう」
「お、おはよう……って、そうじゃないわよ。この身体に巻き付いてる手と脚、どうにかしてもらいたいんですけど!」
あまりにも純粋で綺麗な目をしているから見惚れてしまい、危うくその瞳に吸い込まれるところだった。
どうにも身体が密着している、この距離がいけない。まずは男性から離れて服を着る。話を続けるのはそれからだ。
身体をこれでもかと派手に動かし、腕からの脱出を試みる。
「夜はあんなに甘えて俺から離れたくないなんて駄々こねてたくせに、そういう事するんだな」
耳を疑うような言葉に、身体の動きを止めた。