強引な副社長の婚前指南~偽りの極甘同居が始まります~

「知ってる、処女なんだろ?」

「しょ、しょしょしょ処女って……な、なな、なんであなたが、そのことを知ってるのよっ!」

「だってお前、寝言でずっと『初めてだから、初めてだから』って呟いて俺に抱きついて……」

「わかった! ホントにわかったから、もう、それ以上は何も言わないで……」
 
穴があったら入りたい──そんな気持ちで顔を両手で覆い隠すと、この世の終わりかのように項垂れた。

「そんな恥ずかしがることないだろ。俺とお前は、付き合うことになったんだし」

「それとこれとは話が別……ん? 今、なんて言った?」

ゆっくりと顔を上げる。

「は? なんてって、恥ずかしがる」

「違う。そのあと」

「俺とお前は、付き合うことになったってやつか?」
 
男性は実に爽やかな口調でそう言うと、私の前髪をかき分けておでこに唇を押し当てた。おでことは言え、男性からの初めてのキスに一瞬息が止まる。

いろんなことが一度に起きて、私の幼稚な頭ではうまく処理しきれない。


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