強引な副社長の婚前指南~偽りの極甘同居が始まります~
「こ、こここんな格好で申し訳ありませんが、今までの暴虐非道の数々、どうかお許しください」
本当ならばここは、正座をして謝るべきところだろうけれど。いかんせん、今はまだ下着姿のままだ。
こんなことになるなら、もっとダイエットしてスタイル抜群にしておけばよかった──なんて頭の中がパニックを起こし、意味不明なことを考え始める。
人は最大のピンチを迎えると、頭の思考回路が本線から脱線するらしい。
「暴虐非道の数々って、芳奈はホント面白いのな」
「面白いなんて、滅相もございません。副社長とはつゆしらず、偉そうな口を叩いてしまい申し訳ございませんでした。それでは、私はこの辺で……」
相手が副社長とわかったら、こんなところに長居は無用。さっさと退散しなくては。
ベッドから下りようと、体に布団を巻き付けたままズリズリ身体を動かす。
床に自分の着ていた服が見えてホッとしたのもつかの間。副社長に背中を向け無防備だった身体が後ろから抱きしめられ、え?っと思う間もなく引き戻されて強引に押し倒された。