強引な副社長の婚前指南~偽りの極甘同居が始まります~
八雲さんの顔を見つめたまま、ぼんやり首をひねる。

「何、まだ納得いってないとか? 俺ってそんなに信用ない? これでも副社長の仕事はしっかりやってるし、信頼も厚い男なんだけどなあ」

「それはもちろん、そう思ってます。そうじゃなきゃ、副社長にはなれませんから。でも、それとこれとは話が別で……」

「俺は芳奈の恋人をやめるつもりないから。俺の言葉にショックを受けたってことは、少なからず俺のことが気になってるってことでしょ?」
 
そうなんだろうか……。

戸惑い下を向く私を落ち着かせるように、八雲さんは優しく私の髪を撫でた。

「よ、よくわかりません。でも……恋人のフリはもういいって言ったのは撤回します」

「うん、わかった。じゃあ芳奈は俺の彼女、俺は芳奈の彼氏ってことで一件落着。もう二度と、私が誰と結婚しようと八雲さんには関係ないですとか言わないように。悲しくなるからさ」
 
八雲さんは私が言い放った言葉を身振り手振りで真似しながら、会心の笑みを見せる。その笑顔に見惚れていると、無防備になっていた私の唇に八雲さんの唇が重なった。


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