強引な副社長の婚前指南~偽りの極甘同居が始まります~
でも手はノブにかけたままで、バランスを崩した私は前のめりで倒れそうになって……。
「お! いきなり抱きつくなんて、芳奈は大胆だな」
事もあろうに目の前に立っていた八雲さんにぶつかって、そのまま抱きくるめられてしまった。
「ふ、不可抗力です。私から抱きついたわけじゃありません。副社長、早く離してください」
「嫌だね。それに、なんで副社長って呼んでるの?」
「それはここが副社長室で、あなたが副社長だからです」
八雲さんも言っていた、『会社じゃないときは八雲でいい』と。でも、ふたりのときは八雲と呼べと言っていたのも本当で。今はどっちもの状況だから、なんと呼ぶのが一番いいのか迷ってしまう。
ひとり頭の中で意見を戦わせていると、ピンとおでこを弾かれる。鈍い痛みに、おでこを擦り無言で耐える。そんな私を見て八雲さんは、声を上げて笑い出した。
「しばらくは誰も来ない、だから八雲でいい。それにしても、芳奈はやっぱり面白いな」
頭上から聞こえてきた八雲さんの声はやけに楽しそうで、抱きしめたままクルッと身体を反転させて私をドアに押し付けた。
「お! いきなり抱きつくなんて、芳奈は大胆だな」
事もあろうに目の前に立っていた八雲さんにぶつかって、そのまま抱きくるめられてしまった。
「ふ、不可抗力です。私から抱きついたわけじゃありません。副社長、早く離してください」
「嫌だね。それに、なんで副社長って呼んでるの?」
「それはここが副社長室で、あなたが副社長だからです」
八雲さんも言っていた、『会社じゃないときは八雲でいい』と。でも、ふたりのときは八雲と呼べと言っていたのも本当で。今はどっちもの状況だから、なんと呼ぶのが一番いいのか迷ってしまう。
ひとり頭の中で意見を戦わせていると、ピンとおでこを弾かれる。鈍い痛みに、おでこを擦り無言で耐える。そんな私を見て八雲さんは、声を上げて笑い出した。
「しばらくは誰も来ない、だから八雲でいい。それにしても、芳奈はやっぱり面白いな」
頭上から聞こえてきた八雲さんの声はやけに楽しそうで、抱きしめたままクルッと身体を反転させて私をドアに押し付けた。