強引な副社長の婚前指南~偽りの極甘同居が始まります~
「つまらないな。そんな可愛く謝られたら、何もできなくなるじゃないか。まあ罰というのは冗談だけど、十日間も俺を待たせた責任は取ってもらう」

「可愛くはないと思うけど……」
 
責任──。

それはどうやって取るべきなのか、しばし頭の中で考える。でも経験のない私にはすぐに答えを出すことができなくて、もう一度八雲さんに目線を合わせる。

すると彼は右の口角を上げ、ニヤリと微笑んだ。

「今週の土曜日。俺たちの愛を深めるため、デートをする」

「あ、愛!? 八雲さん、私たちは本当の恋人じゃないんです。そんなものを深めるためにデートなんて、必要ありません」
 
何を言い出すかと思えば、いきなりデートとか。前から勝手な発言が多いと思っていたけど、もしかして八雲さんってバリバリの俺様気質?
 
父の前では恋人のふりをしてもらいたいけれど、それ以外のところではあくまでも副社長と一社員。現に今のこの状況だって、どうかと思っているというのに……。


< 64 / 230 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop