強引な副社長の婚前指南～偽りの極甘同居が始まります～

「そんなこと言っていいのか？　日曜日には四星の社長、芳奈のお父さんに会うっていうのに、付け焼き刃の恋人じゃヤバいと思うけど？」
　
え？

「八雲さん、今なんて……」

「だからさ。芳奈が全然連絡してこないから俺が自分で四星に連絡して、芳奈の親父さんと直接話をしたの。そしたら今度の日曜日、芳奈の家に招待された」

「あ、あのぉ、八雲さん？　言っていることの意味がさっぱりなんですけど。え、えっと、お父さんが八雲さんで、四星に直接、招待して……」
　
八雲さんの突然の発言に、頭の中が真っ白になる。自分でも何を言っているのかわからなくなって、挙動不審になってしまった。

「芳奈、わかった。わかったから、ちょっと落ち着け」
　
私を見て苦笑する八雲さんに肩を揺さぶられ、ハッと我に返る。唐突に父の話が出てきて、プチパニックを起こしたようだ。

「取り乱して、すみませんでした」

「謝るほどのことじゃないけどな。そんなにも俺を、父親に会わせたくないのか？」

「そういうわけではないんですけど……」