強引な副社長の婚前指南~偽りの極甘同居が始まります~
自分勝手な父のことだから、八雲さんに会わせてしまったら話がややこしくなるというか、今よりもっと複雑になりそうな予感がする。

「八雲さんは、父に会ったことありますか?」

「ああ、二度ほど会ったことがある。と言っても挨拶程度で、深く話したことはないけどな。でもあの存在感は人並み外れているというか、俺のような若輩者なんかが敵う相手ではない感じだったな」
 
八雲さんの言うとおり。存在感と口では、あの人に勝る人はいない。だからといって横暴な感じでもないから、人望は厚いのだけど……。
 
いかんせん私のことになると、口うるさいというか自分の思い通りにしたいというか、細かいところまで首を突っ込みたがるから面倒くさい。

これが進学や就職のことなら多少の我慢もできたけれど、結婚となれば話は別。一生を共にする人は自分で決めたいし、心から愛した人と結ばれたい。
 
それは女性なら誰もが持つ普通の気持ちだと思うのに、父には全く通用しない。私のためだなんて言っていたけど、本当のところはどうなのかわかったものじゃない。


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