強引な副社長の婚前指南~偽りの極甘同居が始まります~
「どうして、こんなことに……って私が悪いんですよね。わかりました。申し訳ありませんが、日曜日はよろしくお願いします。でも土曜日のデートは……」
 
そこまで付き合ってもらうわけにはいかない。というより、副社長の八雲さんとデートだなんて、経験のない私には荷が重すぎる。

日曜日も数時間のこと、口裏を合わせておけばなんとかならない?

「勝手に連絡したのは悪かった。でもお前は父親に『結婚したい人がいる』って言ったんだよな? だったら、昨日今日付き合い始めたってわけにはいかないだろう。それなりに恋人の雰囲気ってやつが出てないと、親父さんにすぐバレるぞ」
 
確かに。私がいうのもなんだが、父の頭のキレは天下一品。自分の代で四星百貨店を業界トップにまでのし上げた人物だけあって、人を見る目と直観力は並大抵ではない。

もしもこの話が嘘だとバレてしまえば、私は強制的にルナ・カルドの御曹司と結婚させられることになるだろう。
 
それだけは絶対に嫌──。

突如湧き上がる不安に、身体が小刻みに震えだす。


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