強引な副社長の婚前指南~偽りの極甘同居が始まります~

恋人と定義


週末の土曜日。天気予報では『全国的に雨模様でしょう』と言っていたのに、部屋のカーテンを開けてみれば雲ひとつない晴天で。それだけで心がそわそわしてしまう。
 
八雲さんからデートの詳細のメールが来たのは、彼から呼び出しを受けた日から三日後の木曜日。

そこには日時と集合場所が書いてあり、ご丁寧に地図まで添付されていたからなんて優しいのと思ったのもつかの間。

メールの最後に【迷子にだけはなるなよ】と書かれていて、子供扱いされているようで気に入らないというか情けないというか。
 
そりゃね、私と彼とは歳が十歳離れている。大人な八雲さんからしてみれば私はまだまだお子様かもしれないけれど、もう少し一人前の女性として扱ってくれてもいいのにと思うのは私のわがままだろうか。

この一週間デートのことばかり考えていた。とは言え生まれてこの方一度だって彼氏ができたことがない私には、デートなんて未知の世界。

そのあたりのことがわかる雑誌なんかも見たことがないから、何をどうすればいいのかわからないことだらけ。

服装は? 髪型やメークは?

友達に聞いてみようかと思ったりもしたけれど、二十三にもなって初デートとは言いにくい。しかも本当の彼じゃないのに、そこまで気合を入れるのはいかがなものか。



















< 71 / 230 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop