強引な副社長の婚前指南~偽りの極甘同居が始まります~
「今日はまた一段と綺麗だ」

「あ、ありがとうございます」

「ふっ、固いな」
 
小馬鹿にしたような笑みを漏らし、私の右手を取る。その自然な仕草が、まるで異国の王子のようで。

「梅岡社長が首を長くして待ってるんじゃないのか? そろそろ行くぞ」

「はい。よろしくお願いします」
 
八雲さんに手を引かれ階段を上がる私は、さしずめ彼の魅力に囚われてしまったお姫様──といったところだろうか。
 
なんて、何を考えているのやら。妄想も大概にしないと……。

そんな自分に呆れて嘆息を漏らし、八雲さんの背中を見つめた。





< 99 / 230 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop