どんなきみもだいすき

 そんな、俺に対して寛貴はケラケラ笑っていた。

 『おー…怖っ』

 『…怖くないだろ』

 『ま、そういうとこだよ。今みたいにお前は変わんだよ』

 寛貴にそう言われ漸く理解した俺。


 『まあ…いいんじゃねえの。妹思いの兄でさ』

 『妹思いの兄……か』

 なぜか、寛貴のこの言葉に胸の奥が少し痛んだ。


 『……奏多さ、数回、抱きしめたんだろ?みいちゃんを』

 『…あぁ』

 こいつを抱きしめた時の事が頭の中に浮かんできた。

 『まあ…抱きしめる位なら問題ねえけどさ、それ以上は……な?』

 『……そんなことしねぇよ』


 寛貴が言いたいことはわかってる。

 抱きしめる以上は、しちゃいけないんだってこと。
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