どんなきみもだいすき

 『立派な口答えなこと。わかりたくもないなら、それでいいんじゃない?あたしが教師になった理由は給料が安定するから。あと、教師ってだけで自分の価値も上がる。ただそれだけよ』

 『…結局は自分のことしか考えてないんですか』

 『えぇ、そうよ? だから勤務外だって言ってんの! 確かに給料は安定してるけど、安いわよ。割に合わないわ』

 『大体ね、体が弱いのに学校に来さす親もどうかと思うわ。周りが迷惑するのわからないのかしら? たかが喘息で大袈裟なのよ。死ぬわけでもないのに、学校は病人の面倒を見る場所じゃない。こんなの二度とごめんだわ』

 『……! 高野先生、あなたは人として教える立場の人間として最低です! 自分が何を言っているのか、わかってるんですか!?』

 『わかってるわよ。最低? なんとでもいいなさいよ。あたしはこの考えが間違いだなんて思った事、一度もないわよ!』


 『……っ!』

 俺は、自分の妹のことを…こんなに酷い言葉で言われている事に

 辛くて…悲しくて、悔しくて…これ以上は、聞きたくなくて

 耳を塞いで…下を向いて、目を瞑って

 ただ…泣いていた。
< 144 / 218 >

この作品をシェア

pagetop