どんなきみもだいすき
『高野先生…笑わせないでくれますか?』
…母さんから笑顔が消えた。
『死ぬわけじゃない? 何も知らないのに、大きな口…叩かないで下さい』
高野先生は、顔が引き攣って強張っている…。
よっぽど母さんが怖いんだろう…。
『わたしは…高野先生より、とても若いです。早くに今の旦那の隆司さんと結婚して、子供も授かりました』
『…嬉しかった。子供ができた時、初めてわたしは…自分の手で体で守らなくちゃいけないと思いました』
母さんは…優しい笑顔で目を閉じて言った。
『奏多は、すくすくといい子に育ってくれました。隆司さんに似て…優しくて家族思いな強い子に。おとなしい性格は…きっと、わたしに似たんだと思います』
横目で奏多を見つめて、母さんは微笑んで言った。