どんなきみもだいすき

 『…それから次第に虐めが減っていったと聞きました。高野先生、本当にありがとうございます。陰ながら一人ひとりの生徒を見ていてくれたんですよね』

 『……春野さん』


 『…みいがいない時に、その子達に何か言ってくれたんじゃないのかなと思いました。それから…元々のみいの良さが、その子たちにも伝わった今、虐めがなくなったんだと思ってるんですが…違いますか?』

 『いえ…間違いではありません…』

 『そうですか。だからです』

 『…?』

 『だから、今こうしてみいの事を話しました。でも...さっきの会話を聞いて残念に思いました』

 『…春野さん、本当に申し訳ありませんでした』

 高野先生は深々と頭を下げ、

 真剣な目で母さんを見た――…


 『みいさんに声をかけたのは事実です。わたしは虐める人が許せません。見て見ぬふりはできませんでした。ですが...私事で給料が安く割に合わない事に不満が募り、段々と教師という仕事が嫌になってきてあんな事を…』

 『…そうですか』

 『でも、間違いだったと…今思います。話してくれてありがとうございました。本当に申し訳ありませんでした』

 そう深々と母さんに頭を下げた。
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