【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡
「羽澤……って、いるかな?」
昼休み。
教室のドアの前で、私のクラスを覗き込む男子がいる。
「あの、私ですけど……って!?」
そこにいる彼の姿をハッキリと見た瞬間、私も含めてクラスの女子が一斉に振り向き驚いていた。
「ちょっ!?飛鳥きゅん……!?」
日本語初心者ですか?
それくらい咲希ちゃんは混乱している。
いやでも、どうして飛鳥くんが私を!?
「今から少し話せる?」
「あの……私と?」
うん、と頷いた飛鳥くんに、みんながざわざわ騒ぎ出した。
「琴莉ってば飛鳥きゅんと知り合いだったの!?抜けがけの条例に反してるじゃない!!」
「なにそれ!?てか、違うよ……っ」
しがみついて問いただす咲希ちゃんに私はしっかり否定して、席を立ち飛鳥くんの元へ向かう。
飛鳥くんとは一度も話したこともないんだけどな……。
人気のない廊下の隅で、ピタリと飛鳥くんが足を止めた。
「いきなりで、本当にごめん」