【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡
「……クラスで仲良くなれそうな奴とか、いるかな?」
「えーと、それは……」
こ、これは返答に困る。
どういう訳か、飛鳥くんが心配そうな表情をしているから。
だから、全くもって話せる相手すらいなそうですなんて言えない……。
「……陰口叩かれたりしてない?」
そりゃもう毎日……とも言えるわけもない。
陰キャだの根暗だの地蔵だの散々だ。
「ちょっと気になってさ。嫌われたりしてないかって。羽澤とは話してるところ、見たことあったから聞いてみたかったんだ」
「飛鳥くんは、葉月くんのことを知ってるの?」
一瞬、爽やかな表情が切なげに歪んだ。
「知ってるよ。きっと俺が一番……」
独り言のように声を落とした飛鳥くんは、強く握った手を悔しそうに震わせた。
「わざわざ呼び出してごめんな。ありがとう」
「あ、待って飛鳥くん……っ」
つい呼び止めてしまったけど、言葉に詰まってしまう。
「葉月はひとりになりたがるけど、ひとりが好きなわけじゃないから。また声かけてあげてくれる?」
悲しげに微笑むと、飛鳥くんは踵を返していった。