【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡
「行こう?」
ほら、と葉月くんがひと目も気にせずに手を差し出してくる。
葉月くんの素顔を知らないクラスメイトが通り際に「うわっ」と声をあげる。
え……?
私はポカンとしたまま葉月くんと手を交互に見た。
「制服デート、ってやつなんでしょ?」
「……っ、そ、それは」
昨日は上手く誤魔化せたと思ったけど、葉月くんはしっかり覚えてたみたいで……。
「行きたいとこある?」
なんて言いながら、とても自然に私の手を繋いだ。
「……っ!?」
驚く間もなく、葉月くんは少しゆっくりした速度で進んでいく。
「あんまり遠くない方がいいか」
独り言のように呟く葉月くん。
驚いたり、ドキドキしたり、私の心臓は忙しい。
調査開幕からこれじゃ、本当に心臓がもたないかもしれない……。