【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡


* * *


「あの……葉月くん。ここって……?」



手を引かれるがまま辿り着いたのは、学校から一番近い地区にあるショッピングモールだった。



「こういうとこ苦手だった?」


「に……苦手じゃないけど。今日は、学校以外でのいつもの葉月くんを知りたくて来たわけで……」



どうしてショッピングモールなんだろう?


絶対……ひとりで葉月くんは来ないと思うんだけど。



「いつもの俺って言われたら真っ直ぐ家に帰るんだけど。俺の部屋の方がよかった?」



なんて……イタズラっぽい口調に不覚にもドキッとする。



「っ、!?葉月くんの、部屋!?」


「なに焦ってんの?」



目を細くして聞き返してくるから、私は慌てて首をぶんぶんと横に振った。



「ショッピングモールで問題ありません……」



堪えきれなかったのか、クスッと葉月くんが笑う。


何も反論出来ずにそのまま入口へ向かっていると、



「本当は、俺も羽澤のこと知りたいからなんだけど」


「えっ?葉月くんが、私のことを……?」



顔を半分こっちへ向ける葉月くんを飛びつくように見上げた。




「なんてね?」



ぐぬぬ……!!


嘘か本当か全く見抜くことさえさせてくれない葉月くんに、私はまた悔しくなる。


今日こそは絶対に“裏”葉月くんの貴重な情報を収集して帰るからね!

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