【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡


ショッピングモールの中は、平日の夕方でもそこそこ賑わっていた。



「あ……っ!」



一階のフロアを歩いていると、少し遠くに、私達と同じ制服を着た男女が数人歩いてくる。


あれは……クラスメイトではないか!


非モテ男を演じたままの葉月くんの手は、私の手をしっかりと繋いだまま……。


このままだと「デート!?」なんて突っ込まれて冷やかしてくるかもしれないし、そんなことになれば葉月くんは嫌な思いをするんじゃ……。


さらには、デートじゃなくて調査だと言えば、葉月くんの何を調査してるのか聞かれて、秘密を守ることが出来なくなる可能性まである。



やばい、近づいてくる……!?



「これでいい?」



……と。

私があたふたしていたことに気づいたのか、葉月くんはメガネを外すと制服のポケットに突っ込んだ。



「っ、葉月くん!?メガネ!大事なアイテムなのに……」


「これならアイツらに気づかれないだろ?」



言いながら手で髪型を整えて、猫背だった背中を伸ばす。


そんな“裏”葉月くんの流れるような一連の動作に思わず目を奪われた私は、ただただ見つめっぱなしで……。

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