【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡
通り行く人達だって、その美形の部類に入るであろう整った顔立ちに、誘われるように視線を送っていた。
「見すぎ」
「……っ、あっ……ごめんね」
「羽澤は見慣れてるでしょ?」
慣れてるなんて言われても、そう言われるまで見惚れてしまっていた私は微動だに出来ずにいた。
「見つかる前に行こ?」
……と、私の指先を絡め取るようにして手を繋ぎ直した葉月くんは、まるで見つかるわけがないと余裕に満ちた表情を浮かべて笑みをもらした。
引き換えに、私の調査する余裕はどんどん奪われて……。
ドキドキする気持ちを抑えるのに必死だった。
この先、私……大丈夫かな?
そう思いながら二階のフロアを歩いていると。
“ふわふわ可愛い、秋の足元はコレ♡”と、ポップが飾られた靴屋さんの前に差し掛かった。