【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡
「……う、嘘。葉月くん?ちょ、ちょっと待ってよ!だってあの時、寝てたはずじゃ……っ」
全部聞かれてたってこと……!?
っていうか、今話してるのは葉月くんで間違いないんだよね?
「机に伏せてたからって寝てるってわけじゃないよ?」
ちゃんと確認しないとね、と葉月くんは見透かしたように口もとに笑みを宿す。
まだハッキリと顔が見えない。
だけど、まるで別人なんじゃないかって思っちゃうくらい、葉月くんは意地悪な口調だった。
「でもひとつだけ褒めてあげる」
葉月くんのこんな声を初めて聞いたからか、なかなか頭に沁みこんでいかない。
「よくわかったね。俺が体育祭で手抜いたって」
「っ、あーーっ!や、やっぱり!あれ、わざとでしょ!?」
ほら咲希ちゃん……!!
やっぱりわざと手を抜いて三位を狙ったんだよ!
なんともあざとい!!