【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡
気を取り直して次に向かったのは、映画館のある三階のフロアだ。
そして今度は葉月くんが足を止めた。
「あっ!これ知ってるよ!最近CMでも予告流れてるよね!」
葉月くんが見ていたのは、映画館の表に飾られた公開中のホラー映画のパネルだ。
「葉月くん、これ気になるの?」
「ホラー好きなんだよね、俺。羽澤は?」
「そうなんだ!私も全然平気だよ?むしろ得意かもしれない!」
子供の時、「泣いた方が負けだからね!」とドヤった咲希ちゃんとお化け屋敷に行った時も、泣いたのは咲希ちゃんの方だった。
「ふーん。実は強がってんじゃないの?」
「全然!ははーん……なるほど?さては葉月くん、女子はホラー苦手な子が多いって思ってるんでしょ?」
「やけに自信たっぷりじゃん。羽澤がいいなら俺は構わないよ?」
ぐぬぬ……。
挑戦的な口調で笑う葉月くんに、散々からかわれっぱなしの私の負けず嫌いが反応しないわけがないのだ。
「よ、よし!じゃあ、これ観ようよ!」
そして私は見事に平気と言ったことを後悔するはめになる。