【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡
押し入れの隙間から覗く不気味な“ソレ”が、主人公に近づいていく……。
後ろだよ後ろっ……!!と、心の中で叫びながら、私はゴクリと固唾を飲んだ。
そしてついに、不気味な“ソレ”がスクリーンに飛び込んできた瞬間。
「ヒィッ……」
予想はしていたのに、ついに我慢も限界を超えて、思わず小さく悲鳴をもらした。
挙げ句の果てには……
あまりにもビックリした私は隣にいるのが葉月くんだということも忘れ……葉月くんの肩に顔を押し付けるようにして身を寄せた。
女の両目に穴が空いてるとか、無理無理無理……!!
「……!?」
……と、その時。
そんな私に気づいたらしい葉月くんが、私の頭に手を回してさらに引き寄せると……
「まだ顔上げない方がいいよ?」
耳元でヒソヒソと囁いて、葉月くんが微かに笑った気配がした。
葉月くんの呼吸がすごく近くて……。
ほのかに香るシャンプーの匂いと、葉月くんの体温に、違う意味で心臓がバクバクする。
だから、映画館を出るまで、私はずっと顔を上げられなかった。
こんな顔見られたら、本当に言い訳がつかないから。