【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡
「今夢中になってんのは俺の方ってこと」
「葉月くんが?クレープに……?」
真意がわからず、素直に聞き返せば、
「そんな嬉しそうな顔されたら、ずっと見てたくなるでしょ?」
「っ、」
「それくらいわかってよ、探偵さん?」
口角を上げた葉月くんの口もから微笑が零れる。
途端に心臓は早鐘を打ち付けて、クレープを落としそうになった。
「あの、だってこれ、すごく美味しくて……っ」
必死に言い訳しようと言葉を手繰り寄せていると、
「じゃあ俺にもひと口ちょーだい」
クレープを持つ私の手をそっと掴むと、自分の口へと運んでいく。
「葉月、く……っ、」
そこは今私が口をつけたとこで、と慌てて言おうとしたけれど。
「甘っ」
ふっと笑った顔を向けられた瞬間、胸がドキッと高鳴って、葉月くんに目を奪われる。
「こんな甘いのばっか食べてたら太るよ?」
……なんてね?と。
そんな意地悪を言われても、葉月くんが笑顔を向けてくるから、全然嫌じゃなくて。
ドキドキして、視線があちこち泳いで、もうどこを見たらいいかわからなかった。