【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡


「わざとだよ?」


「っ、葉月くん……やっぱり裏があったんじゃん。い、いいの!?私に、本性見せちゃって」



スラスラ話すし、背中だって伸びてるし、こっちが本当の葉月くんなんだ……。



「毎日監視されたらたまんないしね?」



すっ、と椅子を引いて葉月くんがおもむろに立ち上がる。



「監視って。観察だよ……!」



急に立ち上がった葉月くんが猫背じゃないから、本当は身長だってこんなに高いことも今知った。


私は身構えながら、そんな危ない人みたいな言い方は侵害だ!と強く目で訴える。



「いっそバラした方が黙っててもらえそーだから」


「黙っててって……裏があるのはホントじゃん。なんで、そんなわざと暗い男子みたいの演じてるの……っ?」



こんなにスラスラ話せるくせに。


クラスの人から陰キャ総選挙第一位なんて言われて、文句のひとつでも返してやりたいと思わないの?



「さぁ?ヘボ探偵の羽澤の推理じゃ、一生当たらなそうだね」


「ヘボ……?だから、探偵じゃないってば!」


「ふーん」



葉月くんは意味深に笑うと、私へ距離を詰めた。

< 13 / 321 >

この作品をシェア

pagetop