【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡
「わざとだよ?」
「っ、葉月くん……やっぱり裏があったんじゃん。い、いいの!?私に、本性見せちゃって」
スラスラ話すし、背中だって伸びてるし、こっちが本当の葉月くんなんだ……。
「毎日監視されたらたまんないしね?」
すっ、と椅子を引いて葉月くんがおもむろに立ち上がる。
「監視って。観察だよ……!」
急に立ち上がった葉月くんが猫背じゃないから、本当は身長だってこんなに高いことも今知った。
私は身構えながら、そんな危ない人みたいな言い方は侵害だ!と強く目で訴える。
「いっそバラした方が黙っててもらえそーだから」
「黙っててって……裏があるのはホントじゃん。なんで、そんなわざと暗い男子みたいの演じてるの……っ?」
こんなにスラスラ話せるくせに。
クラスの人から陰キャ総選挙第一位なんて言われて、文句のひとつでも返してやりたいと思わないの?
「さぁ?ヘボ探偵の羽澤の推理じゃ、一生当たらなそうだね」
「ヘボ……?だから、探偵じゃないってば!」
「ふーん」
葉月くんは意味深に笑うと、私へ距離を詰めた。