【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡
俺と関わるとろくな事にならないのは、自分が一番よくわかってる。
だから、挑発的なことを言って突き放すつもりだった。
そうすれば羽澤はもう二度俺に声をかけてもこないし、興味も失せて、羽澤の日常からも俺は消える。
なのに羽澤は、
───“明日から調査開始だよ葉月くん! ”
少しも諦めようとはしてくれない。
「あれー!?葉月くんいつの間にメガネかけたの!?」
「さっきからかけてるんだけど」
気づいてなかったのは羽澤でしょ?
なぜか羽澤は俺から視線を逸らして、何か言いたそうに目を泳がせる。
なるほどね?
羽澤だって女子だ。
人通りの多い道で、自分の隣を歩く男の外見を少なからず羽澤が気にするのは、当然と言えば当然だ。
なんとなく、羽澤が言いたいことを察した俺はメガネを外そうとした。
こんなものない方が、たぶん羽澤だっていい。
「なんで外そうとするの?」
「は。その方がいいんじゃないの?」
「どうして?」
心底不思議そうな顔をした羽澤が距離を縮める。