【完】葉月くんの素顔は甘くてズルい♡
「はっ?なに、お前?」
後藤の腕を掴んで振り払うと、額に青筋を浮かべて、悪意のある目で睨みをきかせてくる。
「羽澤のクラスメイト」
「クラスメイト?ぶはっ……!マジか?おい羽澤、こんなクソ陰キャと仲良いのかよ?」
ゲラゲラ下品な笑い声をあげる後藤に、華奢な羽澤の肩がビクリと揺れた。
「人の気持ちがわかんない奴なんだな、お前」
「あ?なんつった?聞こえねーよ?」
都合の悪いことは聞こえないふり……か。
「だいたいなぁ?陰キャくんは人の目も見て話せねーのかよ!」
こいつは多分、俺よりも気が短い。
苛立ちが限界を迎えたのか、図体のデカい後藤が俺の目元を目掛けてその腕を乱暴に振り払った。
「……葉月くんっ!」
悲鳴にも近い羽澤の声と同時、俺の視界が鮮明になる。
「……っ!?う、嘘!?」
「ちょっと待って?わたし目が開いてないかも……さっきの陰キャ……が、イケメンに見えるんだけど……!」